INTERVIEW
住民として地域に暮らしながら伝える
嶺北支局谷沢 丈流/2019年4月入社
入社動機を教えてください―
神奈川県出身なのに、なぜ高知の新聞社に?多くの人から聞かれる質問です。昔から文章を読んだり書いたりすることが好きで、将来は漠然と「物を書く仕事ができたらいいなぁ」と考えていました。大学生の時に受けたジャーナリズム論の講義がきっかけで、新聞記者を目指すように。就職活動中に参加した高知新聞社の説明会で、「地方の問題を国全体の問題として捉える」姿勢に心動かされ、「ここで働きたい」と意志を固めました。
現在の仕事について教えてください―
高知県中北部に位置する本山町、大豊町、土佐町、大川村を担当する「嶺北支局」の支局長として、住み込みで働いています。取材対象は各町村の役場や議会から、住民が企画したイベントやスポーツの大会、災害や事件事故などなど、嶺北地域で起きた全ての出来事。こう書くと大変そうに見えますが、時には自分もイベントに参加したり、取材先でそこでしか食べられないおいしいグルメを頂いたり…。新聞記者として働きつつ、地域の一住民として暮らし、その魅力を存分に味わいながら働いています。
仕事で大切にしていること―
ニュースを正確かつ簡潔に伝えることです。一つの取材に数時間、多い時は数日~数週間かかる場合もあり、そこで見聞きできる情報量は膨大。ただ、紙面に掲載する以上、記事の文量には限りがあります。聞いたことを全て反映することはできません。そこで大事なのが「このニュースの核は何か、何が問題なのか」という視点。自分なりの問題意識を持って情報を厳選し、分かりやすい文章で伝えることを意識しています。自分が取材した記事が多くの人に読まれ、「あの記事おもしろかったで」「書いてくれてありがとう」と言ってもらえることが何よりの喜びになっています。
特に印象深いのは、県内の市町村役場で地元外出身の職員が増えている現象を取材した記事です。嶺北地域での議会取材などを端緒に、県内34市町村にアンケート調査を実施。その増加理由を探るとともに、地元出身者を採用するための「出身者枠」を設けた自治体にも取材しました。若者が地域外に流出し続ける中、やむにやまれぬ事情で設けた役場の思いを伝えつつ、法的には出身者枠に問題が残る点も指摘し、掲載後は「よその役場もこんなに多かったがや」「何とか対策を考えないかん」などと反響をもらいました。記者という仕事のやりがいを感じられた瞬間です。
もちろん体調管理にも気を配っています。特に支局では1人で担当地域を取材しており、自分がダウンしても代わりに取材をしてくれる人は基本いません。何か事件が起きればすぐに飛び出していく記者の仕事では、体力も重要。ご飯をもりもり食べ、適度に運動することがいいリフレッシュにもなっています。
休日やオフの過ごし方は?―
読書をすることが多いです。小説から漫画、歴史書や教養書などいろいろ読みます。おもしろそうなタイトルの本を見つけたら、本屋でもアマゾンでも即購入。最近では、旧満州を舞台にした歴史SF小説がおもしろかったです。ただ、インドア過ぎても不健康なので、仕事の合間にランニングをしたり、プールで泳いだりもしています。
SCHEDULEある一日のスケジュール
- 事務所で取材予定の確認
- 本山町でイベントの取材
- 本山町の行きつけの食堂で昼食
- 土佐町の農家に取材
- 原稿執筆
- 翌日の取材に関する資料確認
- レイアウトされた原稿を
確認して業務終了
職場紹介
高知新聞社では、地域のニュースを充実させるために、本社以外に県内12の拠点を置いています。
嶺北支局は、県北部の3町1村(大川村、土佐町、本山町、大豊町)を担当エリアとし、管内にはアクティビティが盛んな早明浦湖や吉野川、そして豊かな森林が広がっています。1人の記者が自宅兼事務所である支局に駐在しながら行う取材活動は、その土地に暮らす人々の営みを、そのエネルギーをダイレクトに読者に届ける仕事です。
扱うジャンルは、事件事故から行政、文化、経済、スポーツ、催し等多岐にわたります。近隣支局とも連携しながら地域のニュースを発信しています。
嶺北支局は山間部にあり、急峻な山道を自ら運転して現場に向かうことも少なくありません。他の支局も同様に、山もあり海もありの広い取材範囲を網羅するため、運転技術の向上は必須の課題です。